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Wednesday, March 4, 2020

米民主候補争い 左派と中道の溝は埋まるのか - 読売新聞

 米国の野党・民主党は11月の大統領選に向けて結束できるのか。急進左派と中道派の候補が激しく争う現状は、その困難さを示している。

 大統領選の党指名候補争いで序盤戦の山場「スーパーチューズデー」の投票が行われた。先頭を走っていた急進左派のサンダース上院議員に対し、中道派のバイデン前副大統領が巻き返し、一騎打ちの様相が強まった。

 再選を目指すトランプ大統領との対決で、どちらを「勝てる候補」とみなすかについて、党内の議論が過熱するのは間違いない。

 サンダース氏は、資本主義の総本山である米国で民主社会主義者を名乗る異端の政治家だ。富裕層増税や公的な国民皆保険制度の導入、学生ローンの負債免除など、革新的な政策を掲げ、若者を中心に草の根の支持を広げてきた。

 1980年代以降に生まれた「ミレニアル世代」は、米ソ冷戦時代の実感が薄い。国民の自由を統制する社会主義の負の側面への抵抗感よりも、米国で進む格差の是正への期待が大きいとされる。サンダース旋風の原動力だ。

 国民の既成政治への怒りや将来の不安に訴えかけるサンダース氏の戦略は、トランプ氏が4年前に白人労働者層を支持基盤に据えたのと酷似している。妥協を拒み、政敵への個人攻撃を繰り返す姿勢まで同じなのは評価できない。

 中道派は、サンダース氏の政策は偏りすぎで財源の裏付けや実現性に欠けると主張する。クロブシャー上院議員ら他の中道派候補は選挙戦から相次いで撤退し、バイデン氏への支持を呼びかけた。

 経験と実績を強調するバイデン氏の躍進は、左派伸長に対する党内の危機感の表れではないか。

 出口調査では、サンダース氏とバイデン氏の支持層が極端に割れていることが示されている。

 サンダース氏は若者と中南米系に強い。バイデン氏は中高年層と黒人層に浸透する。大統領候補を正式に決める7月の党大会までに融合できる見通しはない。

 一方、共和党はトランプ氏の個人的な人気のもとで結束を固める。党の伝統的な立場は同盟や自由貿易、民主主義など普遍的価値観の重視だが、トランプ氏の自国第一主義で大きく変質し、今や「トランプ党」と化しつつある。

 トランプ氏への対抗軸は、バイデン氏が掲げる「国際協調や多様性の復権」なのか、サンダース氏が唱える「政治革命」なのか。民主党が揺れ続ける限り、政権奪回への道は険しいだろう。

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