熊本県南部を襲った記録的豪雨で被災した芦北町田浦地区で、住民を支援しようと、いち早く再開した道の駅がある。ほとんどのスタッフが被災したが、米や総菜などの食料、生活必需品を求める声が多数寄せられた。物産館「肥後うらら」が入る道の駅たのうらの駅長、山田良介さん（56）は「困っている人の力になれば」と前を向く。
9日、豊富な品ぞろえで営業する道の駅には、常連客がひっきりなしに訪れた。「店が開いていてうれしい限り」。近くの岩手敏雄さん（74）はトイレットペーパーをかごに入れて顔をほころばせた。
一帯を豪雨が襲ったのは4日。道の駅は被害を免れたものの、従業員約20人のほとんどが自宅の一部が浸水するなどの被害を受けた。物産館の状態を確認するため、山田さんが5日に向かうと次々と電話が鳴った。
「もう米がなか」「あるだけでもいいけん売ってくれんね」。食料や日用品を求める常連客からだった。5日からの3日間で100本以上。山田さんは泊まり込んで電話を受け、夜間は裏口を開けて販売した。
商品の確保にも奔走した。30人ほどの卸業者に電話を入れ、「持ってこられる商品をお願いします」と依頼。被害が比較的少なかったパート従業員2人に頼み、7日の物産館再開にこぎ着けた。
町では豪雨で11人が犠牲に。道の駅がある田浦地区でも2人が亡くなった。被災者救出の拠点にもなり、災害派遣医療チーム（DMAT）の人たちも物資を調達していた。
山田さんが住む場所にも泥水が押し寄せ、車が水没する被害が出た。「命の重さ、尊さが身に染みて分かった」。自宅の片付けは後回し。次々と訪れる常連客の姿にほっとし、勇気づけられもする。「みんなで一緒に前に進んでいきたい」。精いっぱい住民たちを後押ししていくつもりだ。
（白波宏野、玉置采也加）
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July 15, 2020 at 04:00AM
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「道の駅たのうら」再開、被災者支える 食料、日用品いち早く供給 - 西日本新聞
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