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Saturday, December 12, 2020

服部道子氏 渋野日向子好調の3つの要因 心、パット、巡り合わせ…メジャー2冠の可能性「低くない」 - スポニチアネックス Sponichi Annex

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米女子ゴルフツアー・全米女子オープン第2日 ( 2020年12月11日    テキサス州ヒューストン・チャンピオンズGC=パー71 )

全米女子オープン第2日、笑顔を見せる渋野(AP)
Photo By AP

 渋野さんは、日に日に良くなっています。その要因は三つあると思います。まず心。プレー終了後のインタビューで、好調の理由を聞かれ「今までの自分を捨てたこと」と答えていたのが印象的でした。今年の前半はうまくいかないことが多くて、本当に苦しかったと思います。でも、そこから初心に帰ろうと決意した。それまでは、周りの期待に応えようとか、メジャーチャンピオンはこうでなくてはいけない、というような気持ちが強かったように思います。だけど、そうした背負っていた荷物を下ろしたことで、いい意味で自分のためにゴルフができるように変わった。

 一気にゴルフを良くしようという焦りが消え、今やるべきことに一つ一つ意識を集中できた。本当に前向きで、何があってもいい方向に持っていける心の強さを感じます。

 2つめはパットです。今週は2つのコースを使って予選をやっています。それぞれ同じ種類の芝ですが、グリーンは速さも硬さも違う。多くの選手はラインを読み過ぎたり、タッチが合わずにてこずっています。グリーン上は、重い雰囲気になりがちです。でも、彼女はそういうムードに惑わされることなく強気に打っている。ラインを読むセンスに加え、自分を貫ける強さがあります。

 ストロークもいい。肩、肘、手で五角形をつくり、それを崩さずに打っています。手首の角度が全く変わらず、大きな筋肉を使って打つため重い回転のボールになる。芝目に負けず順回転で転がっていくので、入る確率も高くなります。今週はパットでリズムをつくって勢いを出しています。

 3つめは巡り合わせです。優勝した昨年の全英女子オープンの時もそうでしたが、今回の全米女子オープンもいつもとは環境が違います。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で冬開催となり、6月のタフな環境の中でのプレーではなくなりました。例年のように、重くて深いラフと難しいセッティングの中でのプレーを余儀なくされると、日本から初めて出場する選手の多くは戸惑ってしまいます。でも、今回はそれとは違う難しさで、どちらかといえば風があったりする全英女子オープンのような忍耐戦。6月のようなパワー勝負という感じではありません。

 それに、予選は2コースを使う変則でした。何度もこの大会に出ている選手は自分のペースをつくるのが難しかったと思います。

 さらにスタート時間も初日、2日目で午前と午後の組の入れ替えがありませんでした。ゴルフは天候にものすごく影響されます。スタート時間によっては風が強くなったり、雨が降ったりと運不運がある。米ツアーのベテラン勢からすれば、今回の形式は少しアンフェアに感じられたかもしれません。でも、初出場の渋野選手は大会に出られただけでうれしい。そういうことは全く関係ない。だからスンナリ、試合にも入れました。

 最初にも触れましたたが、今の渋野選手は、全米女子オープンのタイトルを獲らなくてはいけないとか、もう一度メジャータイトルを狙おう、というような欲が、いい意味で見えません。プレーが楽しそうですし、生き生きとしている。このままゴールまで行く可能性は低くないと思います。

 日本勢では笹生さんもいい位置につけています。2日目は惜しいパットが何度もあってスコアを伸ばせませんでしたが、彼女も爆発力があってリズムをつかめば、乗っていくタイプ。決勝ラウンドが楽しみです。 (東京五輪日本代表女子コーチ)

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