
広大なユーラシア大陸の東西を結んだシルクロード(絹の道)。古来、この道を行き交う人や物に交じって、ウイルスや細菌も移動し、生息域を大きく広げた。
東で漢王朝、西でローマ帝国が栄えた時代、前者では天然痘やはしか、後者ではペストが大流行した。交易を通じてそれぞれ病原体が同時期に伝播(でんぱ)したとみられ、国力が衰退していく要因にもなった。
元新聞記者で環境史家の石弘之さんが著した「感染症の世界史」(角川ソフィア文庫)に教わった。
現下の新型コロナウイルス感染は、シルクロードの東西の起点である中国とイタリアでとりわけ拡大している。それも偶然なのか、歴史の巡り合わせなのか。
世界中で毎年流行するインフルエンザ。この名は元々は「影響」を意味するイタリア語「インフルエンツァ」が語源。紀元前から患者が絶えなかったとみられるマラリアも「悪い空気」を意味するイタリア語に由来するそうだ。
人類が病気の特効薬を開発しても、それに耐性を持つ新たな病原体が次々に現れ、人類を脅かす。この果てしない攻防は「まさに軍拡競争である」と石さんは例える。分かりやすい。
最初に攻撃を仕掛けたのは人類だ。熱帯林などで野生動物と共生していた相手を乱開発で呼び覚ました。人口が密集する都市を各地に建設し、大量のヒト、モノ、カネが世界中を行き交う物流・交通網なども築いた。その結果、相手は渡りに船とばかりに短期間で一気に生息域を広げる。
この構図は古代にはなかったろう。人類の自業自得、いや自縄自縛というべきか。人類は近代以降、細菌兵器の開発に乗り出したり、デジタル版の病原体・コンピューターウイルスを拡散させたり、さらなる恐怖を生み出している。なんと愚かなことか。
話を最初に戻そう。シルクロードといっても、それは特定の1本の道を指すわけではない。「オアシスの道」「草原の道」「海の道」など、ルートが多岐に分かれた交易路の集合体である。
一帯では東西の文明が交わりつつ、さまざまな民族の興亡も繰り返された。きっと、感染症の話以外にも私たちが知らない物語がまだまだ多く眠っていることだろう。いま一度、想像力を働かせよう。
BGMはこれがお薦めだ。喜多郎さんの「シルクロードのテーマ」-。この名曲がNHKの特集番組で発表されて今年で40年になる。悠久の歴史を思わせる、緩やかで幻想的な旋律を今、聴き直している。 (特別論説委員)
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March 18, 2020 at 09:00AM
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絹の道からひもとくと 井上裕之 - 西日本新聞
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