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Sunday, May 17, 2020

米企業IR撤退 計画断念しか道はない:社説・コラム(TOKYO Web) - 東京新聞

 米カジノ大手ラスベガス・サンズが日本の統合型リゾート施設(IR)からの撤退を表明した。カジノを軸としたIRに対しては国民の反発が根強い。これを機に計画を断念するのが正しい道筋だ。

 横浜市が誘致を目指すIR事業の有力候補だったサンズは、コロナ禍により今年一〜三月期の営業利益が前年同期比94%減となり経営が苦しくなっている。サンズはシンガポールやマカオでもIR事業を拡大する計画を進めており、日本への投資余力が乏しくなったのが撤退の主な理由とみていい。

 カジノは十八世紀、ルイ十五世治世下のフランスが起源といわれる。ただ大きく発展したのは一九三一年に米国の一部で合法化されて以降だ。カジノにホテルや他の娯楽を併設したIRという手法も米国で成長した。

 日本へのIR事業進出では、大阪の有力候補だった米大手シーザーズもすでに断念している。カジノの本場である米国企業からみて、日本でのIR投資は魅力が薄いと判断されたのだろう。

 収益の多くをカジノから得るIRについては、本社加盟の日本世論調査会が昨年十二月実施した調査で64%が「反対」と回答している。コロナ終息の見通しが立たない中、「三密」をつくるカジノへの反対論は一層強まっているはずだ。そこに米国企業撤退となれば、計画断念には千載一遇の好機ではないか。

 だが菅義偉官房長官は「観光立国を目指すわが国にとってIR整備は必要不可欠」と従来の姿勢を崩していない。まったく理解に苦しむ発言である。

 日本では競馬や競輪など公営ギャンブルを除く賭博行為は法律で禁止されている。暴力団など反社会的勢力との関係が深く、ギャンブル依存症を引き起こしかねないからだ。

 IRを巡っては元自民党の秋元司衆院議員が昨年十二月収賄容疑で逮捕された。IRが不正利権の温床となる恐れがあることも指摘しておきたい。

 訪日観光客が増えたのは、安くて品質の良い日本製品や各地の自然、さまざまな文化伝統を軸とした「もてなす心」が人気を呼んだためだ。この中にカジノを加えることが、日本観光の人気をより高めるとの見方には無理がある。

 多くの国民が懸念を抱き本場の企業も撤退する政策を進める理由は消失した。政権として直ちに計画断念を決断すべきである。

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