米ロ両国の新戦略兵器削減条約(新START)の延長協議が難航している。来年二月の期限切れまで時間は残り少ない。核軍縮の軌道を外れて軍拡へ逆戻りしないよう米ロは全力を挙げてほしい。
トランプ米大統領は「新STARTはオバマ前政権による悪い取引だ」と延長に否定的だった。ところが、大統領選へ外交得点を挙げようと態度を一変させた。米側は戦術核を含むすべての核戦力の凍結などを条件に、新STARTの一年延長を提案した。
これに対してロシアは無条件で一年延長することを逆提案したが、米国は拒否して交渉は膠着(こうちゃく)している。
ロシアは米大統領選の結果待ちの姿勢なのだろう。民主党のバイデン前副大統領は二〇一〇年に締結された新START交渉に関与しただけに、延長には前向きとされるからだ。
新STARTは大陸間弾道ミサイルなどに搭載する戦略核弾頭を双方が千五百五十発まで削減するもので、米ロが合意すれば最長で五年間延長できる。
昨年の中距離核戦力(INF)廃棄条約に続き新STARTまで失効すると、米ロ間の核軍備管理の枠組みは消える。一九七二年に弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約が調印されて以来初めての事態になる。
失効によって相互査察などの検証手段がなくなり、核戦力の透明性が低下すれば、相互不信が増す。行き着く先は不毛な軍拡である。核競争によって国の富を浪費する愚は両国も分かっていよう。
気掛かりなのは米ロともに核兵器の限定使用を許容する空気があることだ。米国は「使いやすい小型核」の開発に乗り出した。
一方のロシアには、敵の侵略を思いとどまらせるために核で威嚇したり、実際に使おうという考え方がある。プーチン大統領は二〇一四年のクリミア併合の際に、核兵器を臨戦態勢に置く用意があったと発言した。
米ソ冷戦を終結に導いたのには、さまざまな軍備管理交渉によって信頼関係を築いたことが下地にあった。
関係が冷え込んだ今の米ロに求められるのも、話し合いの機会だ。誤解からくる無用な衝突を避けるため、相互の理解と信頼を深める必要がある。
世界には一万三千発余の核兵器があるという。その九割を占める米ロには率先して核軍縮に取り組む責任がある。
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