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Wednesday, August 19, 2020

少年法の見直し 立ち直りの道を狭めるな - 西日本新聞

 「大人の定義」を無理に統一すれば、若者の立ち直りの道が狭められる懸念が拭えない。未熟な世代の更生を重視する少年法の理念を見据え、厳罰化には慎重であるべきだ。

 成人年齢を18歳に引き下げる改正民法の施行(2022年4月)に合わせた少年法と刑事法の見直しの骨子案を、与党のプロジェクトチームと法制審議会の部会がそれぞれまとめた。

 いずれも、20歳未満の事件を全件家裁に送致する現行の枠組みは維持しつつ、18、19歳について通常の検察官送致(逆送)とする犯罪の範囲を拡大し、実質的に厳罰化する内容だ。

 具体的には、殺人など「故意の行為で人を死亡させた罪」に原則限ってきた逆送対象を「短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪」に広げる。これにより、強盗や強制性交、放火など幅広い犯罪が対象に加わる。起訴されれば、大人と同様に実名での報道も認めるとしている。

 少年による凶悪犯罪には、被害者側をはじめ厳罰化を求める声は少なくない。ただピーク時に年間26万件に上った少年の刑法犯摘発件数は2018年に3万件まで減り、凶悪犯も含め大きく減少している。これこそ、家裁が成育環境や家庭状況を調査し更生を支える現行制度の成果と分析する専門家も多い。

 18、19歳は高校生や大学生が多く、なお成長過程にある。大人と同等の刑罰を科せば、教育的な指導が受けられず、更生はむしろ難しくなるとの指摘や、実名報道が社会復帰の妨げになり再犯を誘発しかねない、との懸念もある。日弁連もそうした観点から「今回の骨子案は許容できない」との会長声明を出している。

 少年法の適用年齢を巡っては18歳未満への引き下げ派が大勢の自民党と、それに反対する公明党が折り合わず、法制審でも賛否が割れたままで、議論は3年余にわたり続いてきた。その結果である今回の骨子案は、少年法の精神を重んじるより、厳罰化を含む折衷案で双方が妥協を図った印象が色濃い。

 重要なことは、少年事件の背景に横たわる虐待、貧困、離婚の増加といったさまざまな要因を見据え、その解決に地道に取り組むことだ。少子化が加速する中、若い世代を支え、立ち直りの機会を与えていくことは、日本社会が従来にも増して求められる命題であろう。

 失敗してもやり直せる「再チャレンジ社会」の構築は、安倍晋三政権が掲げてきた看板施策でもある。「大人の定義」の整合性にとらわれて、法の理念やあるべき社会の姿を見失ってはなるまい。与党と法制審には再考を強く求めたい。

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August 20, 2020 at 08:30AM
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