名手ルメールに導かれ、鮮やかに史上4頭目の連覇を決めた。「第45回エリザベス女王杯」が15日、阪神競馬場で行われ、1番人気のラッキーライラック(牝5=松永幹)が中団後ろから早めスパートで押し切り、4つ目のG1タイトルを獲得した。次走は有馬記念(12月27日、中山)が有力だ。クリストフ・ルメール(41)は今年JRA・G1・6勝目、通算33勝目。今秋のG1は1番人気馬が5戦全勝となった。
連覇を狙うラッキーライラックにとって大きなハードルは内有利、高速馬場の大外18番枠。ルメールはレース後「2つのチョイスがありました。内枠ならもっと前で運ぶことも考えましたが、一番外だったので後ろに決めたんです」と明かした。道中は中団後ろでじっくりと。3角すぎに自ら動き、4角すぎで早々先頭。後続を振り切った。
「18番できつかったし、ちょっと早いと思ったけど、馬が頑張ってくれましたね。たまにバッドチョイスするけど、今日はグッドチョイスでした」
機を見るに敏の手綱さばきで、初騎乗のラッキーライラックを連覇に導いた。検量室前では馬上で両手を高々と突き上げて「レンパー!」とスマイル。松永幹師から「ありがとう」と声を掛けられると「こちらこそ」と応じた。この勝利で、重賞の初騎乗馬で5連勝。秘訣(ひけつ)は地道なルーティンにある。
「毎週、木曜に出走馬が決まると、騎乗馬をチェックします。初めて乗る馬は過去のレースを見て、どんなポジションで運べば一番馬がうれしいかを考えるんです。ラッキーライラックは何度も一緒にレースをしているから、元々よく知っていましたけどね」
愛馬アーモンドアイの同世代ライバルを見事にエスコート。アーモンドとライラックでG1・12勝。現5歳こそ最強牝馬世代だ。
「G1を勝つのが僕の仕事。1番人気はミスしなければ勝てますから。また、来週も会いましょう」
今週末はマイルCSのグランアレグリア、続いてジャパンCのアーモンドアイ。1番人気必至の有力馬が続くことはもちろん承知しており、優しい笑みの中に自信がにじんだ。
松永幹師にとって1番人気に応えての連覇は、3番人気だった昨年の復活Vとは違う味だった。「ホッとしているというか、人気を背負っていたので“勝てて良かった”という気持ちですね」と頬を緩めた。17年阪神JF、19年エリザベス女王杯、そして今年の大阪杯に続く4度目のG1制覇。サンデーレーシングの吉田俊介氏は「もう一回使いたい。できれば有馬記念かな」と明言した。アーモンドアイはジャパンC、ラッキーライラックは有馬記念がラストランとなる見込み。秋の王道G1を最強牝馬世代の5歳双璧が全て制圧なら、これ以上ない有終の美となる。
◆ラッキーライラック 父オルフェーヴル 母ライラックスアンドレース(母の父フラワーアレイ)15年4月3日生まれ 牝5歳 栗東・松永幹厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績18戦7勝(海外含む)重賞6勝目 総獲得賞金7億5420万8700円(海外含む)。馬名の由来は五弁のライラックの花(幸運のシンボル)。
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