北海道と札幌市は、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないことを受け、対策を一段と強化する。札幌市の警戒ステージを事実上「4」へ引き上げ、市内での不要不急の外出や、同市と各地との往来自粛を求める。17日に正式発表する。鈴木直道知事は「経済活動と感染拡大防止の両立」を掲げるが、患者を受け入れる医療機関の負担が重くなり、経済活動を制限してでも追加の対策を打ち出さざるを得なくなった。(芳垣文子、本田大次郎、斎藤徹、松尾一郎)
鈴木知事と札幌市の秋元克広市長は16日午前に道庁で緊急会談。新たな対策を取ることで一致した。道と市は7日、道内の警戒ステージを「3」へ引き上げ、札幌・ススキノ地区の飲食店への深夜営業自粛を求めたばかり。27日までを集中対策期間とし、11月中に感染を抑え込む方針だった。
しかしその後の1週間余りで、感染者は1・5倍の5683人に増えた。ススキノの飲食店への集中対策では足らず、病院や学校、離島の利尻島でもクラスター(感染者集団)が発生。地域や業態を問わず感染が全道に広がる。秋元市長は16日の会見で「(前回打ち出した対策の効果を)見極めてからでは間に合わないくらい感染が増えている」と危機感を示した。
そこで新たに打ち出す対策が、人口が集中する札幌市だけを事実上「警戒ステージ4」へ引き上げるという手法だ。札幌市民に対し、感染リスクが避けられない場合は不要不急の外出を自粛し、道民には札幌と道内各地との往来を避けるよう呼びかける。札幌で感染を封じ込める狙いだ。
さらに鈴木知事は、国の「Go To」キャンペーンにも踏み込んだ。飲食向けの「イート」については、多人数・長時間の会合での利用は控えるよう求める。観光の「トラベル」も、感染リスクが避けられない場合は「利用を控えていただく」と明言した。
「経済活動と感染防止」の両立を掲げ、経済活動の制限には慎重だった鈴木知事だが、感染の急拡大で踏み込んだ対策を取らざるを得なくなった。ただ、その実効性はまだ見えない。鈴木知事が繰り返した「感染リスクが避けられない場合」の具体例は、17日の対策本部会議後、対策を正式発表する会見で明らかにするという。感染リスクを抑えるための具体的な行動を道民にいかに示すかが今後問われる。
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鈴木知事と秋元市長が会見で強調したのが医療機関の負担増だ。コロナ患者が次々に運び込まれ、感染対策や人員確保で現場は疲弊している。「この状況がさらに1週間続くと一般の病棟を閉めざるを得なくなる」(秋元市長)
道内の新型コロナの入院患者数は674人(15日時点)。計算上、確保済みのすぐに使える病床963床の7割が埋まる。軽症や無症状の感染者が入る宿泊療養施設は札幌市内にホテル2棟を借り上げ、1千人分を確保しているが、準備や手続きに時間がかかり、入所者は690人(同)。209人が入所待ちで、自宅療養者は269人に上る。道は近く施設を拡充する方針だ。
医療機関での感染のリスクも高まり、16日までに18件のクラスターが発生。うち11月だけで8件に上る。
16日には地域医療機能推進機構「北海道病院」(札幌市豊平区)で20~50代の医師1人、看護師4人が感染するクラスターが判明。いずれも新型コロナ感染症病棟勤務という。同病院は結核患者を受け入れるなど呼吸器の治療で知られた病院だが、新たなコロナ患者の受け入れを見合わせており、札幌市のコロナ病床確保にも影響しかねない状況という。
釧路市では市立総合病院でクラスターが発生し、看護師2人、患者4人の計6人が感染。感染者が出た病棟での患者受け入れの停止や、緊急を要さない手術を延期したという。
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医療機関のクラスターのなかでも深刻なのが、旭川市の吉田病院(263床)だ。16日は新たに5人の感染が分かり、感染者数は計61人。感染した入院患者は寝たきりの高齢者が多く、搬送された市内の他の病院は対応に追われている。
吉田病院では6日、障害のある患者らを受け入れる6階で発熱した入院患者2人を検査。1人の感染が判明した。6階では同日のうちに計9人の入院患者や看護師の感染が確認された。7日にはさらに入院患者15人の感染も分かった。
当初は「(入院患者の)新型コロナによる重症化はみられない」(市保健所)とみていたが、その後、入院患者5人が亡くなった。さらに、5階や7階の入院患者や職員の感染も判明。これ以上の院内感染拡大を食い止めるため、市は国立感染症研究所に専門家の派遣を要請した。
旭川市ではコロナ患者向けに、市内の五つの基幹病院が約100床を確保しており、現在はその6割が埋まっている。そのうちの一つ、旭川赤十字病院は24床を確保し、16日時点で15人のコロナ患者を受け入れた。ほとんどが吉田病院からの転院患者という。
寝たきりの患者が多く、食事やトイレの介助で複数のスタッフで対応しなければならない。牧野憲一院長は「介助が必要な患者への対応は、想定以上の重労働だ。数字上はベッド数に余裕があるようにみえても、現状のスタッフ数ではもうギリギリだ」と訴える。
旭川市は病院の負担を軽減するため、軽症者や無症状者が入れる宿泊療養施設を市内に開設するよう道に要請した。西川将人市長は「現場は非常に厳しい状況。宿泊療養施設の設置で、現場に少しでも余裕を作りたい」と話す。
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16日に道内で新たに確認された感染者は189人。うち札幌市は124人。道内全体の感染者が200人を下回るのは5日ぶりだが、クラスターは新たに5件、18日連続で発生した。累計で114件、11月だけで43件。患者の死亡も新たに2人確認された。
クラスターは札幌市の北海道病院など2件、江別市の道消防学校(6人)、釧路市のデイサービスセンター(5人)、千歳市の陸上自衛隊東千歳駐屯地(16人)。同駐屯地では3例目だ。集団の教育実習で感染が広がったという。
札幌市南区の特別養護老人ホーム「ドリームハウス」では入居者ら4人の感染が新たにわかり、感染者は計92人になった。7月はじめに収束した同市北区の介護老人保健施設「茨戸(ばらと)アカシアハイツ」のクラスターと同規模になった。
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北海道美唄市は、新型コロナウイルスの濃厚接触者となるなどして自宅以外での待機が必要となった市民向けに、市の多目的宿泊施設「トマーレびばい」を16日から無料で提供する。最大14日間利用できる。
発症者以外で、感染者と濃厚接触して保健所から健康観察を指示されたり、海外から帰国して待機が必要とされたりした市民が対象。「トマーレびばい」はスポーツ・文化活動の合宿など向けの施設で、1棟で最大6人程度が利用でき、全4棟ある。問い合わせは市保健センター(0126・62・1173)。
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November 17, 2020 at 09:00AM
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感染急増、道・札幌市が対策強化へ 新型コロナ [新型コロナウイルス] - 朝日新聞社
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